P-airの構造

「P-air」は、大きく分けて、電源部、熱交換部、送風部に大別されます。
3つの中で電源部と送風部にのみ、直流電気を使用しますが、熱交換部は電力を使用しません。
構造は極めてシンプルです。イラストでは電源も同一線上に描いていますが、実際にはファンに電源を供給するだけなので、一体化させる必要はありません。ただし、携帯型の冷温風扇ですから、携帯に便利なよう、電源も本体と一体化させて、製作しています。
製品化する際にもほぼ同一の形状にする予定です。

■吸気・排気ファン
ファンはDC5V動作の直流ファンです。決定までにいくつかのDCファンを検討しました。理想から言えばもっと強力なファンを使用したいのですが、消費電力やボルト数の関係で、このファンに落ち着きました。この手のファンはデスクトップやタワー型の排熱ファンとして利用されていることが多く強力なのですが、使用電源は12Vです。
しかし携帯用に12Vを供給できるバッテリーは限られていますし、容量もさほど大きくはありません。もちろん大きなモノもありますが、たいていの場合仕様がジャンプスターター(自動車のバッテリー上がりの際の一時的電力供給ツール)のため、長時間にわたり、電力を安定供給できる稼働というと、ちょっと疑問でした。
それに12Vといえば、電極をくっつけると結構大きな火花が散るくらいの力を持っています。子供も触れる冷温風扇として、感電しない程度の低電圧で稼働するファンの選定という事で、現在のファンに設定しました。
今後より安価な12Vチャージャーが安定的に供給される(サイズも問題ですが)ようになれば、仕様変更も検討予定です。

■DC5V電源
先のファン電源としては、DC5Vのスマホ用充電バッテリーパックを利用します。理由は様々な容量のバッテリーパックが市販されており、小さい目のバッテリーパックであれば、本体に入るサイズのモノが家電量販店に売られている場合も多いことから、比較的入手しやすい物と言うことで考えました。
また通販サイトをチェックすれば数多くのバッテリーパックにも出会えます。当方では20000mAのバッテリーパックで、筐体に入るサイズのモノを探しまくりました。と言うのも通販サイトの責任ではないのですが、メーカーや販売元が公表しているバッテリーの容量には嘘の記述がされているモノが結構あるのです。アジア製のバッテリーは、メーカー名も聞いたことのない、販売会社名も聞いたこともないという場合がほとんどです。
それだけに、大容量で低価格というモノがあって、掘り出し物と思って購入してみると、思わぬ粗悪品だったと言うこともあります。そこでバッテリーパックに関しては、選択の幅は狭まりますが、amazonで販売しているバッテリーパックの中から選択するようにしました。多くの通販サイトの中でも比較的不良品の販売が少ないと、体験的に感じていたからです。

■熱交換器 冷熱媒
熱交換器は当方が設計し、金属加工メーカーに発注して製作して貰います。
熱交換器とは大げさな言い方ですが、簡単に言えば外気を冷たくしたり暖かくしたりするための、羽(フィン)とでも言えばいいでしょうか。
フィンはアルミやステンレスで冷熱源(冷熱媒)を取り囲むように配置されます。また、冷熱源の低温や高温を、給気された外気に移し替えるため、冷熱源に接触していなければなりません。たとえば、冷風を精製しようとするときには冷媒にフィンを接触させ、詰めたくなったフィンの隙間を外気が通過し、詰めたいフィンの温度を空気に移し変え、空気を冷やします。
逆に暖気が非値ような場合には熱源の温度をフィンに移し、外気がフィンの隙間を通過する際に熱交換を行うという仕組みです。効率で言うなら、冷熱源が空気をじかに冷やしたり暖めたりするのが効率的なのですが、そのような冷熱媒容器w作成するには金型と製造機械の製造ユニットを作るだけで10000万円以上コストがかかります。
実用新南には、そのような形状の冷熱媒も申請し登録してありますので、大量に生産する必要が出てくれば、熱交換器を作用略したタイプのモノが出てくる可能性もあります。
熱交換フィンの断面形状は大きく分けて三角波・矩形波・サインカーブ、棘状などいくつかありますが、当方では他社特許以外の形状については、一例として新案請求項に記載しています。
一例として、三角波での形状について、説明すると図の三角波1スパンの長さSと、三角形の高さHによって、Cは変化します。

ここで問題になるのは、このような熱交換ファインが、冷熱媒にウマく密着するかどうかです。
例えば直径が100mmの円筒だとして、その円周に端数の出ない整数のスパン数を割り当てることが必要です。ですが、実際にはそんなにうまくいきません。例えばきっちり割り切れてスパン数が決まったとしても、冷媒のサイズが少し大きかったりすると、冷媒を取り囲むフィンに隙間が生じます。
また冷媒が熱交換フィンよりも小さかった場合には、フィンと冷媒とが密着しなくなります。また、Hが大きくなると冷熱媒、熱交換フィンなどを収納する筐体が太くなります。
フィンを大きくして空気のフィン接触流量を増やすことは可能ですが、そうなると冷媒と熱交換フィンの面積比でフィンのほうが大きくなりすぎて、フィン自体の吸熱率が落ちてしまいます。
実際の開発現場では、熱量計算など行える環境ではなかったので、いくつかの形状や素材で検討したわけですが、これからもより効率的な熱交換率逢割り出してフィンの形状やサイズを変更してゆく予定です。
現在のところ筐体の内径を100mmにして、全体の設計を行っています。また冷熱媒の円周上と同一サイズの接触面積を保有するような熱交換フィンの検討にも入っています。また、フィンの断面形状も矩形での検証も行っています。