P-air開発物語 2

【冷却技術の検証】

目標ができたので、私はいくつかの冷却方法を検討しました。
一番に検討したのはペルチェ素子を用いる方法でした。
ペルチェ素子を用いた冷温システムは魅力的ではあったものの、素子の片側を冷たくすれば、反対面が熱くなるため、その放熱をどうするかということで、頓挫していました。
ご承知のようにエアコンでは、室内機で冷媒を気化させ、気化熱により冷風を得ると、室外機ではガス化した冷媒を再度圧縮し液体に変化させるため、コンプレッサーの生じる熱を、放出しなければなりません。
ペルチェ素子と、エアコンのガス気化熱型とは、構造が全く違うのですが、冷たくした分、熱くなるところが出てくるというのは、体験的にご理解いただけるかもしれません。エアコンなら、室外機と生活空間はわけられているのですが、今回考えたのは作業現場や、お散歩、ベビーカーなどにも利用できる携帯可能な冷風機器な訳ですから、ペルチェやガス冷却方式では、送風と熱拡散装置とが近すぎて、効果が得られにくいのです。
というところで、ペルチェも冷媒型方式も頓挫していました。
2021年の初夏を迎えた頃に、むつかしく考えずに「冷却された媒体を用意し、その冷却温度を奪えばよい」ということに思い至りました。 また、その媒体条件としては、
1.誰でも簡単に入手できること。 
2.場合によっては自宅でも準備できること 
3.何度でも使いまわしができること。
4.低価格で購入できること。という4条件を必須条件といたしました。
その結果イメージしたのが、コンビニで販売されている、冷凍PETドリンクでした。 冷凍されていて、160円ぐらいで購入可能で、自宅でも凍らせるらせることができて、溶ければ再度凍らせるか、飲めばよいというのは、私の考案にはうってつけの冷却媒体でした。
極端な話をしますと、冷凍PETボトルを見出した時点で、冷風送出装置の概略もほぼ同時に思いつきました。 で、今度は冷風送風装置の開発条件を、拾い出しました。
1.外気吸入後は、冷却までの流路は、できる限り直線的に。
2.空気冷却のための熱交換機もできる限りシンプルに。
3.外部デザインは、できるかぎりシンプルに。
4.使用する部品数もできる限り少なく。

6月から8月のお盆のころには、これらの開発条件もほぼ出来上がりました。

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