「P-air」の製造には難しい技術などはさほど必要ありません。
もちろんきれいに作ろうとか、確実に動かそうとか言う場合には、下準備が必要です。
ここでは、当方の用意した組み立てキットを推奨するのではなく、サイズや仕様を紹介するだけに止めます。
したがってここに明記されたサイズなどを参考にパーツを準備されると、ほぼ同様のモノが作成できると思います。
もちろん性能に差は出るかわかりませんが、その部分についても、こうすれば性能が改善されるというポイントについても、できる限りお知らせいたします。
ただしこちらでは教職者の方とクラウドファンディングご支援者用の自作情報提供であるため、一部の製造技術などに関しては、登録制でページをお知らせすることもあります。
あらかじめご了承下さい。
■本体ケース
「P-air」の機能を維持するためには、ケース素材やサイズが重要です。
現在当方が「自作組み立てキット」に用意しているケース(筐体)はアクリル製です。マスプロ化する際にはABS樹脂もしくはポリカーボネイトを想定しています。(耐久性・耐熱性)
では「自作組み立てキット」でアクリルを選択したのにはいくつかの理由があります。
1.透明なので、製作する際中野様子を確認しやすい。
2.強度の割には接着加工が安易で、強度も維持できる。
3.加工しやすいサイズが販売されている。
4.着色も可能だから、オリジナルデザインも可能。等があげられます。
当方の「自作組み立てキット」ではアクリルパイプのサイズを直径100φ・肉厚5mmで設定しています。ではこのサイズが絶対化と言えば、これ以外でも作れないことはありません。
小さい場合には少し厳しいのですが、大きい目の円筒が用意できれば、取り回しの不自由さだけで、場合によっては高性能を引き出される可能性はあります。
例えば孟宗竹を円筒に切り出した竹筒、水道工事用の太い目の塩ビパイプ。防水処理された紙管など、一定の太さのある円筒形であれば、すべて「P-air」製作には利用可能です。ただし、円筒形に切断した場合、両端の直径が同一であることが条件です。
極端な話になりますが円錐形の一部を切り出したようなイメージでは、後々の作業が大変になります。
また、円筒が透明かどうかはさほど関係ありません。当方が「P-air」を実験製作した場合には、透明アクリルしか思いつかなかったのと、内部の構造がどの程度まで省略化できるかなどを部品の配置状況をチェックしながら作成したので透明の方が便利だったのです。
ちなみにアクリルパイプには、透明や乳半(ほぼ白色の半透明)、白、黄色その他の色も規格としては存在するようですが、市場に大量に出回っているというモノではないので、アクリルパイプを選択される場合の参考にして下さい。
アクリルパイプの直径は先ほど記述したとおりですが、長さなどについては、以下を参考にして下さい(これはあくまでも当方指定のサイズで、他のパーツサイズによっては自由編変更が可能です。)中央部分200~210 トップ部分55 アンダー部分45(バッテリーも一体化させたい場合には、長さをバッテリーにあわせるため、長くする)
そして、この三つの円筒を接続するために、使用するつなぎパイプが2個必要です。
外径が88~89mmで長さが30~40mm程度です。
そして、円筒パイプの蓋部分の板が、100φ×2と88~89φが必要です。
中央部分と、トップ部分には穴開けや溝きりなどの作業が必要になり、円形蓋の100φと89φにも穴開け加工が必要になります。
■送風ファン
送風に用いるファンは、非力では困りものです。と言うのも、「P-air」には、吸気ファンを実装していないので、送風ファンに寄って生じる負圧を利用して吸気しているからです。吸気専用ファンの設置をすればいいのかも知れませんが、空冷機能の調整その理由で、吸気排気を一つのファンでまかなっています。
従ってファンの選択には注意が必要です。
できれば1分あたりの吸気容量が大きいモノが好ましいのですが、規格にあったDCファンは、探してみてもさほど見つかりません。
当方でも、中国製の安いハンディファンのDCモーターの使用を検討しているのですが、規格が公開されていないので、躊躇しています。
現在当方が指定しているDCファンは限られた選択肢の中でなんとか使えそうな物と言うことで選んだものです。写真のDCファンは主用途として、PC屋ゲーム機器の過熱を空気冷却するという目的で輸入されているようです。そのため、便利な3段階風量切り替えスイッチがUSBケーブルに設置されています。
本来であればもっと小さなスイッチのファンを探しているのですが、今のところ見当たりません。ただ、工作が得意なかたであれば、ケーブルを加工して、ん¥マイクロスイッチなどを使用されれば、スマートになると思います。
中国製品のDCファンはそれこそ数多くあるのですが、商社経由だと高額になったり、送風量が明確でなかったり、実際にオーダーしてもロットが大きすぎたりと、様々な事情が発生しています。そこで現状ではやむなく国内に商社が輸入し、市販しているものを使用しています。このようなファンを使用される場合には、使用電圧にご注意ください。
例えば高出力のDCファンの多くはDC12V駆動が多いようです。実験ではDCファンの長時間使用でも発熱は気にならないほどでしたから、自作される際により電圧や消費電力の多いDCファンをご利用になれば、より効果的な送風扇が製作できると思います。ただしその場合にはDCファンの駆動電圧や消費電力に見合ったバッテリーパックをご利用ください。(多くの場合バッテリーパックの形状により、「P-air」本体には収納できないと思われます)ちなみに当方が実験段階から使用しているのは、携帯などの充電に使用するUSB接続のバッテリーパック2000mAのものです。
■バッテリーパック
先にも述べたように、「P-air」では、5Vのモバイル充電用バッテリーパックを利用しています。通常スマホなどに用いる充電用バッテリーパックは、供給コネクタがUSBタイプAやC等に設定されています。バッテリーパックにはリチウムイオン電池が内蔵さていますが、電圧はほぼ3.7Vになっています。つまりバッテリーパックの中にUSB電力の3.7Vを5Vに昇圧する回路と、充電時には逆にUSB供給電力を3.7Vに降圧させる回路が入っているのです。 バッテリーの電圧を上げたり下げたり面倒なことをしているのですが、いくらかの電圧や電流ロスは発生しますので、容量的には大きい目のバッテリーパックをご準備下さい。 ちなみに現在使用しているバッテリーパックは20000mAを使用しています。東欧の実験では連続7時間程度は使用できました。 ベビーカーやペット用に少しの間使われるのであれば、10000mAでも十分だと思います。
■熱交換フィン
熱交換フィンは、「P-air」の構成部品の中でも一番大切な、性能を左右する部品です。
クラウドの支援者でリターンの「自作組み立てキット」を受け取られた方はおわかりでしょうが、ステンレス板を三角波に折り曲げてあるだけのシンプルな構造です。
ところが、この熱交換器を製造できるメーカーが少ないのです。
最初にお願いした会社は熱心でしたが、いざ製作をお願いすると、サンプル製作だけで、ギブアップされてしまいました。
関西でも勢いのある金属加工会社だったのですが、「製作手間と代金が割に合わない」という事情です。
そこで加工のコストが安い中国に依頼してみたのですが、辞退されてしまいました。
実際に試作した製品の写真も送られてきましたが、折曲げが不十分だったり、金属板に穴が空いたりしており、使い物になりませんでした。
通常このような構造品は2種類の製作方法があるのですが、精度を求めるのはどちらでもかなり厳しい作業が要求されます。
これを実際に私たちが手業で製作するとすれば、高さ180~200 幅300mmほどの横型のアルミもしくはステンレス板に山折り・谷折りを繰り返して冷熱媒の外周に合わせて折り曲げ続けるという作業が必要委なるのです。
山や谷の高さは均一で、なおかつ全ての折が垂直でなければ円筒形の中には入りません。当方の製作基準では300mmほどの金属板を折り曲げても、全折りが上下切断面との交差角度が90度を維持しており、折り幅も1/100mm以下の誤差精度です。一回の折り曲げ作業で1/100mmのゆがみがデルとすれば写真のように折り曲げれば、フィンを円筒形に加工した際には均一な円筒形にはなりません。一山ごとの高さが違っても、冷熱源戸の接触にむらが出てきます。
つまり、たかがステンレス板を波板風に折り曲げたモノであっても、
実際にけがき針で線を引く手作業ではこの精度を出すのは無理だと思います。
たかが折り曲げただけの板に見えますが、このフィン作成には金属加工メーカーの技術水準が結集された、素晴らしい製品だと言えるでしょう。
この熱交換フィンは、必要な場合には別途販売いたしますので、必要な方はご相談下さい。
その他の部品についても、あるいは工具についても一定の品質を設定していますが、それらは制作者向けページで詳しくお知らせいたします。
※実用新案無償使用許諾さきや、クラウドファンディング支援者には、webアドレスなどを別途お知らせいたします。